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②母性という幻想 日本のフェミニズム運動

フェミニズムとはどんな社会であるのかという女性の視点からの社会認識です。

今回は日本のフェミニズム運動の特異性について書きたいと思います。

フェミニズムフランス革命の影響が強い、西洋生まれの思想です。

フェミニズムにもいろいろあって、ラディカル・フェミニズムジェンダーの不平等は男性支配によるものだ)や、マルクス主義・フェミニズム(女性は仕事でも家庭でも搾取されている)や、エコロジカル・フェミニズム(近代化による生産中心の産業が女性と自然を抑圧している)などあります。

特に日本で一般に受け入れられたのはマルクス主義とエコロジカル・フェミニズムです。

日本のフェミニズムでまず女性の人権を主張したのは福沢諭吉です。福沢諭吉は「学問のすゝめ」のなかでも、女性を蔑ろにせず、男性もすすんで育児に協力するべきである、といっています。

次に平塚雷鳥らの青鞜派の婦人解放運動が興りました。与謝野晶子雷鳥の母性保護論争をきっかけに、雷鳥の「母性主義」、晶子の「女権主義」、山川菊栄の「社会主義」の三つのフェミニズムに分岐しました。雷鳥は、女性は母になることによって社会的、国家的、人類的な存在になるのだから、国は母性を保護しなければならないと主張しましたが、晶子はそれを依頼主義だと否定しました。菊栄は母性保護のための資本主義体制の変革を主張しました。

しかし、1931年の満州事変以降、戦中において母性主義は母性的天皇制に取り込まれてしまいました。戦後は、男女同権を獲得し、民法も男女平等の理念に改定されましたが、共同体は仕事(公的領域)と家族(私的領域)とに分断され、そして、良妻賢母(儒教の男尊女卑思想を背景に、女子の任務は家を整え、子を産み、子を育てることにあるという婦人の理想像で、明治初期から用いられはじめた)主義の大衆化による、母性という性役割が誕生したのです。

以上述べたように、日本のフェミニズム運動では「母性」がキーワードになっています。