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④母性という幻想 女性と母性の両立

前々回の記事で書いたフェミニズム運動により、1986年に男女雇用機会平等法が実施されました。

しかしこの法律で男女の平等が実現されたわけではありません(男女の平等はそもそも無理なので、男女同権を目指すべきだと言う人もいます)。現在どのような課題があるのでしょうか。

一つ目は、働く女性は増えたが、ほとんどが非正規雇用だということです。これは、女性は男性に養われることが前提になってしまっているので、独身の女性や、子どもをもつシングルマザーはキツイです。

二つ目は、女性が働きだしているのに、女性が大部分の家事を負担していることです。また、日米比較の調査によると、子どもの家事手伝いの割合は、米国が80%なのに対し、日本では20%です。

三つめは、子どもは母親の手で献身的に育てられるべきだ、子どもの成長に母性は必要だという意見がまだまだ多い点です。母性性、父性性という生得的な役割を重視しようという考えは機能主義と呼ばれています。アダルトチルドレンの記事でも紹介したのですが、ボウルビーの愛着理論はその典型です。

 

私が今回書きたいのは、母性を信仰するばっかりに女性の権利を蔑ろにしてはいないか、ということです。かといって、女性の権利ばかりを優先すると言っているのではありません。子どもの側に立って、考えるということが必要です。今までは、特に幼児の意見を聞くことができませんでしたので、大人が想像した解釈で母性の重要性が語られてきましたが、これからは神経科学で研究がすすめられ、子どもの立場に立った意見が出てくるのではないかと思います。

うまく女性の権利と母性とが両立でき、子どももハッピー、そんな時代がきてほしいです。

今回までは「女性」、「母性」、「子ども」というキーワードで書きました。

どこか、男性が悪いような書き方になってしまいましたね。

次回は「男性」と母性について書いてみようと思います。

 

母性という幻想①~④までの参考文献

1.財団法人 日本学術協力財団編 『学術会議業書14性差とは何か―ジェンダー研究と生物学の対話』 株式会社ビュープロ、2008年。P128~130.

2.石井慎二編 『別冊宝島85わかりたいあなたのためのフェミニズム・入門』 JICC出版局、1988年。P12~16,18~24,28,30,32,36,41,60~69,74,77.

3.山口昭男発行 『新編 日本のフェミニズム3 性役割』 岩波書店、2009年。P218~223,226,227.

4.アンソニー・ギデンズ 『社会学 第五版』而立書房、2009年。P33,34,36,37,446-491,734. 用語解説6,7,8,14,15,17,32,33,35,37,38.

5.目黒依子編 『ジェンダー社会学』 放送大学教育振興会、1994年。P67,75,85,86.

6.林道義 『フェミニズムの害毒』 精興社、1999年。P261~265.

7.山中進編 『熊本大学地域連帯フォーラム業書 女と男の共同論』 成文堂、2003年。P48,174,190.

8.大久保喬樹 『日本文化論の系譜』 中央公論新社、2003年。P223~237.

9.林道義 『母性の復権』 中央公論社、1999年。P100.

10.福沢諭吉/伊藤正雄校注 『学問のすゝめ』 講談社、2006年。P292,293,123-130,186

11.土居 健郎 『「甘え」の構造』 弘文堂、1971年。P60-68