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内観体験記 毒親に感謝は生じるか

今からちょうど一年前に、内観を受けました。

内観とは、していただいたこと、して返したこと、迷惑をかけたことを面談者に話すというシンプルなものです。アダルトチルドレンの、してもらえなかったことを話すやり方とは正反対なのがとても興味深いですね。

はたして内観は、親子関係の障害を改善してくれるのでしょうか。
結論からいえば失敗に終わりました。私の体験記が、これから内観を受けようとする元被虐待児や内観関係者の役に立ち、もっと内観がよくなればと思います。

六万円

私は一週間内観といって、安曇野の研修所に一週間こもりました。価格は一週間で学生は三万円。学生でない一般だと六万円です。宿泊もあると考えればそんなに高くもないですね。

申し込みはメールや電話で

申し込みのためのメールをしました。もちろん「母親から虐待を受けていたので母親に対する内観はやりたくない」という文言を添えて。そのあと研修所の場所や待ち合わせ時間、振り込みなどの案内にしたがって、バスの予約やらの手続きをふみました。

さぁ到着

高速バスで安曇野のある駅に到着するとスタッフの方が迎えに来てくれました。明るい感じのよい方でした。

駅から研修所へ

車で研修所に向かいます。研修所は二階建ての別荘のような感じです。1階におかれていたハリネズミのストーブが印象的でした。

内観がはじまるゾ

携帯を先生に預けて内観開始です。この先生はN先生といって心理学博士です。

一日目~二日目

二階に通されました。二階には三部屋ありました。私の部屋は普通の六畳の和室でした。内観道場らしくしきりの屏風がありました。

まずクレヨンで絵を描きました。「木と人と家」がお題です。日本式の内観に西洋式の療法だなんて不思議だなーと思いつつ、普通に描きました。

通常は母親に対する内観をしますが、私の場合は父からはじめました。「していただいたこと、して返したこと、迷惑をかけたこと」を二時間くらいで思いだしてノートに書き、先生が来たら五分ほどでまとめて話していきます。先生が来ない時間はずっと部屋にひとりぼっちです。本も読めません。

父との交流がほぼないため一瞬で終わりました。父のあとはは祖母、祖父、と血縁が遠退いていききます。親戚まで終わったら学校の先生など血縁のない人々まで広げていく感じです。これを世界人類までに広げられたら大成功といったところなんでしょうか。

なんと母についてもやってしまった

初日、二日目で親族から友人まで内観を広げていきました。そうしていくうちに、感謝と嬉しさが現れ始め、母についても内観をすることにしました。内観では内観ではしてもらえなかったことは言ってはいけないため「夕飯はいつもミスドやマックで買ってくださいました☆」と遠回しにディスりながらも、していただいたことについては客観的に思い出すことができ、よかったです。先生も「いい先生だったんですね、お父さん働き者ですね」くらいの感想でした。

雲行きが…お金の勘定

ノートに学費や食品、家賃、新聞代まで、私の成育にかかったお金を書いていきます。私は正直強く抵抗を感じました。なぜならよく母から「てめぇには一千万かかった。金返せ!!」とよく言われていたからです。拒否した態度を取りましたが、以前宿泊した青山学院大の女の人(20)の美しい例を渡され、仕方なくそれっぽく書きました。

このお金のノートは、安曇野の研修所だけがやっているのか、内観研修所全体でやっているのかはわかりません。しかし、私はこれはズルいというか、下品に感じました。かけたお金の量で感謝の量が決まるのでしょうか。正直ぞっとしました。

そして、内観の先生も「こんなにお金をかけてもらったんだから(感謝しろ)!!」とおっしゃるわけです(泣) 本当に。

呪いの言葉

そして「お母さん、病気なのに縁切られてかわいそう(娘がなんとかしなきゃ)」、「お父さん、こんなにお金をかけたのに(娘が出ていった)」、「妹さん、お母さんに殴られ続けてかわいそう(姉のあなたがなんとかしなきゃ)」と、先生の無神経な言葉に、正直二階から飛び降りてこっそり逃げ出そうかなと考えたくらい、とんでもないとこに来ちゃったなと思いました。
また、本当に心理学博士なのかと疑問に思うくらい精神障害者とその家族について理解がありませんでした。例えば、私の母はまるで統合失調症(病識がないため診断不可能)の末期で、隣の
家に侵入して暴れたり、髪の毛を庭に捨てたり、逮捕レベルの罵声はあたりまえ、自分をジャンヌダルクの生まれ変わりで、ご守護神様の加護があり、念じれば人が殺せると思っている状態です。そして、そんな母を病院に入れるなんて暴れて至難の技だということは素人でも知っています。ですが先生は「お母さん見捨てられてカワイソウ」ですって。もうこれは呪いの言葉だよ。

先生のご好意で性格分析?

N先生は内観の前はロジャーズ派のカンセラーで、全肯定が疲れて内観派になったということでした。それで、私がプライドが高く誇大だということで(本当は自信がなくその裏返しなのですが)
その誇大化された自意識を現実に戻す療法や、将来の進路相談もやりました。先生いわく、自信をつけるには資格やをとったり学校へ行くことだと言われたのですが、私は母から将来を邪魔された経験があり、それは先生に話していたので、悲しくなりました。先生のご好意はありがたいのですが、これはいらなかったと思います。

ラジオ放送を聞きました

内観はいったんストップして、ラジオやカセットテープで内観でがらりと変わったヤクザのおじさんの話や、不登校の女の子などの話を聞きました。まぁ当たり前ですが、どれも内観はスバラシイという話です。途中、中年のおじさんや若い男性の話で、開祖?の老人の先生から「感謝が足りないから病気がよくならないんだ!!」「しっかり内観しろ!!」という( ; ゜Д゜)な罵声がありました。

最終日

最終日はラジオが流れます。
あなたは死にました。父母をはじめ親戚中が集まっています、どんな言葉を残しますか。
というものです。妹には「自分で考えて、早く母のもとから脱げ出すように」と言いました(実際には先生に、ですが)。
他の、父母や親戚に関しては、疲れきって気力がなかったために何も言えませんでした。その場の雰囲気もほらほら感謝しろよ~感で満ちています。先生からも「育ててもらったのに」「よくしてもらったのに」なのになんで感謝ができないのという圧力高めです(泣)

そして、荷物をまとめる前に感想の作文と、最初に描いたのと同じお題で「木と人と家」を描きました。結局最初と同じ絵を描きました。

そんなこんなで私の内観7デイズ☆は終了しました。

内観、その後

内観後は、両親からしていただいたのに家を捨ててしまうなんてとんでもなかったんじゃないか、私が全部悪かったんじゃないか、私さえ頑張ればこんなことにはならなかったんじゃないか、今から戻って母の世話をするべきなんじゃないかという状態になり、今でも毎日自殺したい気持ちです。
内観の理論では、これは私の感謝が足らず、すべて私が原因で、悪いことになります。

内観体験記まとめ

元被虐待児へは、基礎的な内観はとても効果的だが、結論ありきな内観はとても有害!!
内観でよかったのは三日目までの、ただ純粋に「していただいたこと、して返したこと、迷惑をかけたこと」を話し、先生がそれにコメントしない形態です。
途中から、かかったお金を書かせたり、先生が私的なコメントをしたりしたところからおかしくなりました、つまり、結論(感謝しろ)ありきの内観になってしまったわけです。

感謝できなくても いいじゃないか

これから内観をする人、内観をしてる人へ。内観をしても、またはさせても、必ずしも感謝できるようになることを期待しないで下さい

やるなら家族全員で

内観は家族全員でやるのが理想であり、一番弱い子どもだけにやらせて、お前が感謝しさえすれば全て丸く収まるんだよというものではあってはならないと思います。

以上、内観体験記でした